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らしさ。


涙してしまった。思わず。最近、アニメ「美味しんぼ」にハマっている。「女の華」というエピソードを 観たときのこと。以下、簡単な あらすじ。

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先代から寿司屋を継いだ 店主の夏子さん。男社会の職人の世界で なめられまいと、 容姿もスタンスも "男らしく" 振舞って営業をしていた。そんな折、二人の歌舞伎俳優が来店する。

俳優の一人(若手実力者)は 握りを食べた後、「女の握った寿司なんてくえねぇ云々」と怒りだす。主人公の山岡さん・ヒロインの栗田さんに続き、もう一人の俳優(女型の名優)が たしなめる。「それは 恥ずべき偏見。男とか女とかそういうのを超越したところに職人芸はある…」

そして 夏子さんに向かって こう続ける。「… しかし、私も ここのお寿司は もうごめんだ。私は 歌舞伎の女形。本物の女より女の魅力を表現できる自信がある。あなたは私と正反対の男の姿をしている。でも、それは何のために? あなたからは 男の醜さしか感じない。荒々しく、粗野、攻撃的、無神経 … 店の雰囲気はトゲトゲして、肝心の寿司もとんがっている。人の心をイライラさせるお寿司で 客の心を酔わせることはできない」… そんな言葉を残して、去っていく。崩れ落ちる 夏子さん。さて、それから、どうなるか。

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「自分が思う自分(こうでなければならない、こう見られたい など)」と「素の自分」との間に ギャップがあると、周囲には 不自然に映ってしまう。無理が生じて ギクシャクする。そして、何より本人が とても 息苦しくなる。(夏子さんが 内心 どうだったかは わからない)このギャップによって生じる苦しみは、経済上・健康上の問題と 肩を並べるかそれ以上の辛さだと、私は思う。

私自身 まさにそうだった。つい最近まで「自分は こうでないと…」という考えが 非常に強かった。また、似たような状況の方にもお会いしてきた。だから、この作品を観て 胸が締め付けられる思いがした。

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現実社会では 各々 何らかの立場があり、それには イメージが付きまとう。また、自らも そのイメージをつくる。女として、男として、社長として、上司として、夫として、妻として、親として、娘として、息子として、この年代の人間として…。だけど、それらは 誰かが・自分が つくったイメージにしか過ぎない。

それより ずっと大切なのは、その人らしさ。100%は 無理かもしれない。でも、ベースには、これが こなければならない。そして意外にも、その方が ことがスムーズに運ぶことが多かったりする。

以前、スナックで行われた 結婚パーティーに呼ばれた。「新郎、ハイトーン出ますね」と 招待してくださった先輩に話しかけたら「新郎は 以前 女性だったんだよ。幸せそうだよな」と 返ってきた。

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「らしさ」とはすべての壁をとっぱらったときに、そこにある、自分だけのパワースポット。


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