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Smoke gets in my eyes

帰りしなに もう一杯… と、20代の頃から お世話になっている BAR ”D" へと 自然に足が向く。「タバコ ありますか?」切らしていたので マスターに声をかけると「よかったら これ吸いなよ。Hさんが 吸ってたヤツ まだあるから」といって、差し出してくれた。Hさん、か…

・・・

Hさんは 企業の会長という立場にも関わらず、私みたいな者にも 気軽に接してくださる、遊び心を持った 紳士だった。マスターのお誘いで 食事を ご一緒させて頂いたり、アロハシャツをいただいたり。そのうち 連絡先を交換。しばらくしてから 何度か お食事に誘って頂いた …が、その度 「仕事があるので…」と かなり素っ気なく 私は 断ってしまった。その頃、私は 仕事も 恋愛も 共倒れ …グラグラと 今にも 崩れそうな 崖の上を 目隠しで 歩いているような状態だったのだ。3回ほど お断りして以来、Hさんから 連絡が来ることはなくなった。

今年 初め、Hさんが 昨夏に 亡くなられたことを 知ったとき、あんな暖かい人に あんな冷たい態度をとってしまったこと、そんな形で 終わってしまったことが 恥ずかしくて仕方なかった。

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Hさんのタバコに火をつける。だめだ。こらえきれない。ひと通り 事情を話すと「そんなこと あったんだ …Hさんも 天国で きっと聞いてくれてるんじゃないかな」と言ってマスターは 濃い目のカクテルを出してくれた。なんだか 今日はやけに 煙が目にしみる。

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始まりがあれば 必ず 終わりがある。人との付き合いも、仕事も、人生も。いつか お別れがくること、いつか 終わりがくることが 少しでも頭の片隅に あれば、きっと 一つ一つのことを 丁寧にやっていけるんだろう。

キャパが 狭い 私は それでもやっぱり、時に いろんなことが 雑になってしまう。そんなときは、ほろ苦い気持ちで Hさんのことを思い出して、また 一歩ずつ やり直すことにしている。


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