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先月ラスベガスにて開催された 世界最大の家電見本市(CES)のパナソニックのブースには祖業と言える家電の新製品紹介は見当たらず、対照的にクルマ(EV)に関わる製品が積極的にアピールされていたという。3月に創業100周年を迎える同社。『自身の言葉でパナソニックを表現してほしい』と現地で問われた 津賀一宏社長は こう答えたらしい。「何の会社なのか……正直言って私も自問自答している」また、同氏は別のインタビューで こんなお話もされている。「(事業の成長の柱について)悩んでいる」(参考:20180113,127_日本経済新聞_朝刊)
えっ。言っちゃうんだ …おもしろいなぁ…まともな方(会社)だなぁ……大変 僭越ではあるが、記事を読んだとき、瞬間的に そう感じた。コメントが率直で、内容が 至極まっとうだったからだ。電気機器業界に限らず、どこもかしこも 競争環境は 複雑で 厳しい。新たに稼ぎ頭の事業を育てるのは 並大抵のことではない……にも関わらず、核心とは 程遠い言葉ばかり並べて「何 言いたいの?」「何で あれ言わないの?」「事実と違うでしょ?」って、ステークホルダーをイラつかせ、むしろ不安にさせるようなコメントは よく見聞きするけど、それとは 真逆である。
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「普通の会社でない」ー 2012年11月、2年連続で7500億円を超える最終赤字という状況を受け、津賀社長は 自社の現状をこう喝破し、事業構造改革を断行、V字回復を果たした …ことを 冒頭の記事を読んだ後、知った。と 同時に、あのようなコメントをされる背景について 仮説が立った。言葉で取り繕ってカッコつけても 無意味・無価値どころか デメリットでしかないことを 体験的に 知っていらっしゃるんだろう …そして 信念があるから 腹を晒せるんだろう …きっと。推測だけど、そんな気がする。
日本を代表する企業の経営トップとは 天と地以上の差があるが、私のような市井の人間も 不透明な時代を どう生き抜いていくか、白地図に自らの将来方向を 描き続けていかなければならない。そのときに大切なのは、何か描くより先に、飾らずに 己を きちんと見つめることなんじゃないのかなって思う。