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2016年8月某日、会社を辞めてから

初めて帰郷する際の新幹線にて。

上野駅から隣の席に座られた

80代のご婦人。

​「はぁー、良かった、席空いてて。

助かったねぇ。ありがとう」

相席のご縁で、結果的に二時間ほど

しばしご歓談。

これから故郷の新潟で姉妹、

親戚(皆さんアラウンド・エイティ)と

合流し、日本酒ツアーに出るという。

ナント・ウラヤマシイ。

お見合いがきっかけで

結婚されたご主人は

数年前に病気でなくされたそうで

「お父さん」への感謝の気持ち、

寂しかった日々をお話ししてくれた。

それでも時が経つにつれて

今では近所のご友人と大好きな

パチンコとお酒をたしなむ毎日。

なんだか楽しそう。

越後湯沢を過ぎたあたりから

一緒に暮らす次女の方の話題に。

「本当に憎たらしかったねぇ、

本当にねぇ。許せなかったねぇ」

と、何度も繰り返す。

次女の方は20代半ばに、大恋愛の末

両親の反対を押し切って

「できちゃった婚」したという。

 

当時は今より世間体を気にする時代。

また、同居していることもあって

今でも色々思うところがあるらしい。

そろそろ私が降りる駅が近づいてきた。

会社辞めたこと、

親父になんて切り出そうか。なんて

思いながら、お別れの挨拶をすると

ご婦人は少し微笑みながら

「・・・私も大恋愛ってぇの、

いっぺん、してみてかったもんだねぇ」

 

​そう言って、畑仕事の暖かい手で

頼りない青年を見送ってくれた。