
静寂
時々、もう一度 観たくなるような映画に 出会う。私にとって「ノクターナル・アニマルズ」という作品は最近、その一つとなった。最初に観たのはいつだったか思い出せないし、あれから 頭に思い浮かぶこともなかったし、どこかで見かけたわけでもなかったが、ある日 急にもう一度 観たくなった。 同作品は、「(主人公の)“彼女”と“彼”とのストーリー」、そして、「“彼”が新たに書き上げた小説のストーリー(「ノクターナル・アニマルズ」という同タイトルの この小説が“彼女”の自宅に送られてきたところから全てが始まる)」が交互に走る。 主旋律の「“彼女”と“彼”とのストーリー」においては、その時々の互いに対する、或は、自らの生き方に対する情念のせめぎ合いがみてとられ、その波は最後に激しい飛沫をあげてぶつかる …そう、画面越しに もう一度立ち会いたかったのは このラストシーンだった… “彼女”が 東洋風のレストランでお茶を飲む 場面を傍観していると、胃袋に鈍さを感じながら 自分の何かが ぐるりと逆流していくような、身に覚えのある経験が、私の場合、再現される。確か音響は入っ