逆転。
米副大統領になる前のアル・ゴア上院議員が提唱したインフォメーション・スーパーハイウェイ構想は、後にインターネットの一般解放へと繋がった。本格解放されたのは冷戦が終結した翌年の1990年とされるが、それから約30年が経ち 世界時価総額ランキングTOP5社の顔ぶれは変わった。92年と現在とで 比べてみると…
【1992.12.31】1位 エクソンモービル、2位 ウォルマートストアーズ、3位 GE、4位 NTT、5位 アルトリア・グループ
【2018.1.31】1位 アップル、2位 アルファベット、3位 マイクロソフト、4位 アマゾン・ドット・コム、5位 テンセント・ホールディングス(6位 フェイスブック)
二つの時点における違い。1.業種 2.時価総額の桁(記載していませんが) 3.私への影響力 …92年のTOP5社は認識し得る限り、当時においても 私の生活には関係なかった(NTTくらい)。一方、現在のTOP5のほとんどは 公私ともに日常欠かせない。
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以前は 顧客が売り場に出向き、売り手の言い分(値)を受け入れて 商品やサービスを購入した。情報の非対称性が成立していた時代の話である。しかし今ではITによって 売り手と同等以上の情報を 顧客が持てるようになった。イニシアチブを握るサイドが逆転した。売り手は顧客を追いかけて、下山した。例えば 小売業。百貨店、スーパー、コンビニ…収益の源泉は 川下へ移っていった。
しかしながら「あちら(欲しいもの)」と「こちら(私)」をつなぐinterfaceを、先に挙げたような ITビッグ数社が抑えているものだから、たまったもんじゃない。ということで、セブン&アイ・ホールディングス×アスクル、ヤフー×ソフトバンク×イオン、楽天×西友…といった提携を 最近よく見かける。しかしながら今のところ、これらは機能的な足し算にとどまっている感が否めない。
例えば、顧客情報。蓄積すればするほど、新たな付加価値が生まれ、事業者の魅力度が高まり、情報が更に集まり… といった好循環が期待される。こういった情報(血液)および各事業(カラダ)を一気通貫でコントロールできる裁量は、Amazonと その他連合軍との間には 素人目ながら 大差がある気がする。ネットとリアル -これは手段の話であって、肝は見えないとこにあるんだろう。
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Amazonは昨年、約1.5兆円を投じて高級スーパー、ホールフーズ・マーケットを買収したが、その460箇所の店舗は「倉庫」のように位置付けている。消費者の自宅近くにある店を冷蔵「倉庫」とし、書籍や衣料品のように長期間保管できない生鮮食品を宅配する、という発想 …逆立ちしても 思いつかない …けど、答えを知ってしまうと“顧客目線”という意味では自然な気もする。(参考:20170808_日本経済新聞_朝刊)